歯の神経を取った歯でも、痛むことはあるの?
香川県高松市の噛み合わせ専門歯科医院 吉本歯科医院の吉本彰夫です。
歯の神経を取った後でも、痛むことってあるんですか???
ひどい虫歯ができて歯医者さんで神経取ってもらったんだけど噛むと痛いんです。
神経取ったのに痛いなんてちゃんとやってないんでしょうか??
このような患者さんからのご相談、非常に多いです。お答えしますね。
歯の神経を取った後でも、痛むことはあるの?
虫歯が深くなっていて近所の歯医者さんで歯の神経を取りましょうってことで治療をしてももらったんだけど半年たっても噛むと痛い。
神経をとったのに痛いなんて、そんなことあるんですか?
このようなこと非常に多いんですね。一体どうしてなの?と思われますよね。
歯の神経を取る治療のことを歯科では専門的に「抜随(ばつずい)」と言います。これは「歯髄」という部分をとってしまう治療なんですね。
歯髄とは神経と血管のことです。
虫歯が奥深く進行してしまい、歯髄に細菌が入り込んで炎症が起きてしまうと、一般的な歯科医院では歯の神経をとらないといけなることが多いです。
※吉本歯科医院では「神経を取らないといけないと診断された歯」であっても神経を抜かずに残せる場合がありますのでまずはご相談下さい。
抜随をしないといけないほどの炎症が起きている歯は、処置の前日から強い痛みを繰り返し感じていることがあります。
何もしていなくてもズキズキ痛いとか、夜痛くて寝られなかったとおっしゃられる患者さん非常に多いです。
何もしなくても痛みがひどく出ている場合には炎症がかなり広がっていると考えます。
そこで、神経をとった後にどうして歯がいたむのか?というと、いろいろな理由が考えられます。
抜随というのは歯の根っこの先端のところで歯髄を切断します。
歯の根っこの中に細菌感染が生じ、歯根膜、歯槽骨へ炎症が波及したものが根尖性歯周炎と言います。
歯の神経を取ったのに噛むと痛い
疲れると歯がうずく感じがする
というのはこの歯周炎が原因である可能性が一つ目としてあります。
歯周炎になると患者さんご自身の体調や免疫力とも関わり「疲れてきたり睡眠不足が続くと歯がうくず」ということがあります。
根尖性歯周炎についてみていきましょう。
上図は虫歯が大きく、根管内も感染し、炎症が歯槽骨まで波及した状態です。この状態では歯髄はすでに機能してなく(失活)痛みは歯周組織から生じます。また一度根っこの治療を行っても、治療に不備があったり、きちんと行われたりしても根管内の細菌をゼロにすることは難しく、ごく少量残ってしまい、それが根尖部で悪さをして炎症を引き起こすこともあります。ここでも根管を介して消毒を行うという意味での根管治療(感染根管処置)の対象となります。そして歯根が破折してしまう場合でも同様なことが生じますがこの場合は抜歯になってしまうケースもしばしばです。
ここまで、神経を取ったのにどうして痛みが生じるのかについて長々とお話しさせていただきました。当院では症例に応じてCTを用いて根管の状態を確認し、マイクロスコープで精密なところまで確認して治療を進めております。
2つ目は残っている歯の神経が原因です。
歯の中にある神経すべてを取りきることは人間の手では不可能です。
歯の神経はクモの巣のように無数に張り巡らされているものです。
教科書やイラストではくっきり3本か4本程度に表現されていますが実際はクモの巣のように無数に張り巡らされているのが歯の神経です。
大きな太い神経に取り残しがあると当然痛みが残ります。
歯の中にある神経すべてを取りきることは人間の手では不可能です。
噛んだ時に痛みがある場合は、歯ではなく歯の周囲の歯根膜や歯槽骨で痛みを感じています。
このような状態の歯の根っこの治療を行っても、治療に不備があったり、きちんと行われたりしても根管内の細菌をゼロにすることは困難であり取りきれない歯の神経が歯の根の中に残ってしまいます。残ったものが根尖部分で悪さをして炎症を引き起こす場合があります。
このような場合も歯の根の消毒を行う根管治療となります。
噛んで痛い場合には基本はやわらかいものをやさしく噛む程度にして頂くことをお願いしています。神経を取っている歯は非常にもろくなっています。
数週間経っても術前と痛みが全く変わっていないのなら、再度治療を行う必要があります。
歯が痛い、歯がしみる、噛むと痛いなどいずれの場合も、痛みは体の警告機能です。痛いと感じているのは歯ではなく実は脳です。
歯の神経を取ったのに痛い場合にはまず痛みの原因がどこから来ているのかを探ることが重要です。
歯の神経を取ったはずの歯がずっと痛い場合には
根管の中に取りきれていない細菌が残っている場合があります。
まずはご相談下さい。