虫歯の治療後に歯が痛い、しみるのはなぜ?
香川県高松市の噛み合わせ専門歯科医院 吉本歯科医院の吉本彰夫です。
第二象牙質ができるまで
虫歯の治療が終わっても、歯が痛い、しみる・・・どうしてだろう?こんな体験をなさった方は多いのではないでしょうか?
虫歯治療が終わった後、痛くてしみるのは「虫歯治療後、歯が痛い=虫歯が治っていない」というわけでありません。
一般的な虫歯治療では細菌に侵された歯は、菌が周りにひろがらないように虫歯の大きさより大きく削ります。
※吉本歯科医院では削る量を10分の1程度におさえ薬で治す虫歯治療を行っております。
治療後の歯は、神経が近くなった分だけ口の中の刺激が神経にすぐ伝わります。これが、治療後歯がしみる理由です。
しかし『第二象牙質』ができればしみにくくなっていきます。
歯は神経を守ろうとして、神経を囲むように新しい象牙質をつくります。これが第二象牙質というものです。第二象牙質ができると歯に刺激は神経に直接伝わらなくなり、しみにくくなっていきます。しみなくなるまでの期間は、歯の状態や人により違いますが2週間から1年ぐらいまでなど本当に様々です。しみるのがつらい場合には冷たいものや熱いものをできるだけ避けていればだんだんと自然にしみなくなることが多いです。
詰め物を入れたあと歯が痛くなるのはなぜ?
詰め物を入れた歯が痛くなるのには、次のような理由が考えられます。
① 歯を削った後の歯髄(歯の神経)が過敏になるため
歯を削った後は歯髄(歯の神経)が過敏になっているため虫歯を除去する時には高速回転する器具で削って除去します。治療時している最中は麻酔の注射をしているため痛みを感じませんが虫歯を取り除くときに生じる振動や発生する熱の刺激により、内部の神経はダメージを受けてしまいます。しかし神経のダメージも時間が経つにつれて、少しずつ徐々に回復してきます。しかし、神経のダメージは回復するのにある程度の期間を要することも多く、その間は神経が過敏になってしみやすい状態にあります。
②虫歯が大きい、神経がもともと弱っていたため
深い部分にまで虫歯が侵蝕している場合には、歯の神経近くまで細菌に侵され歯の神経が弱っている場合があります。 歯の神経が弱りダメージを受けている場合には、虫歯の治療を行ってもしばらくの間、歯がしみることや痛みが続くことがあります。しかしこれもしばらく時間をおけば神経が自然と回復していきます。しかしあまりにも深く虫歯が進行してしまっていた場合には既に歯の神経にまで細菌が到達しており痛みが長引く場合もあります。その場合には歯の神経を取る治療が必要になってきます。吉本歯科医院では一般的な歯科医院であれば歯の神経を抜く場合でもあっても神経を取らずに薬で治す治療を行っております。残せる歯の神経の場合には抜かずに残す治療を行います。あまりにも痛みやしみが落ち着かない場合にはまずはご相談下さい。
③ 銀歯(金属)の被せ物や詰め物が熱を伝えてしまうため
保険診療では、詰め物の材料にプラスチックや金属を使います。特に詰め物が金属の場合は、温度を伝えやすいため、セラミックス(自費治療)に比べるとよりしみやすいといえます。金属は非常に熱を伝えやすい材質です。銀歯を入れて日が浅いうちは、冷たいもの、熱いものが刺激で特にしみやすい状態にあります。吉本歯科医院では神経を残す治療をした場合には封鎖性の高い質の良い材料をお選び頂くようにおすすめしております。
金属による治療は、痛みやすくなる重要な要素です。金属は熱を伝えやすい素材です。削ったあとに金属を詰めたり、被せたりすると、神経に近づいたところに金属の熱を伝えやすい性質が加わり、“冷たい熱い”の刺激が歯の神経にさらに伝わりやすくなります。
熱の伝わり方は材質によって異なります(熱伝導率の違い)。どうしても歯がしみてつらい方は、治療、治療材料等、ご相談に応じます。
特に奥歯は強い力が加わりプラスチック系の材質では強度不足で自由診療のものであってもおすすめはしません。強度的に弱ってしまった根にかかる負担を和らげるために機能的に十分ではないけれども歯を抜かずに残したい等の一部に限られた状態では比較的弱いプラスチック系材質をお勧めすることはあります。
④ 詰め物の高さが高いため
銀歯やセラミックなどの詰め物を入れた後は、かみ合わせの調整をします。その際、患者さんの感覚に頼りながら調整していきます。ただ、詰め物を入れてまだ間もないときは、ほんの少しかみ合わせが高くなってしまう場合があります。そうなりますとかんでいくうちに歯の周囲の歯根膜(歯とそれを支える骨の隙間にあるクッションの役割をする繊維)がダメージを受け、「かむと痛い」という症状が生じます。
⑤ 歯根膜の炎症が落ち着いていないため
日常生活に支障がある場合や、何もしないのにズキズキするような痛みが続く場合には歯の神経や歯の根の先に炎症が起きている可能性があります。このような場合には歯の神経を取る治療、または歯の根の治療をやり直すなどの処置が必要な場合もあります。詰め物や被せ物をした歯の痛みやしみはさまざまな理由から生じています。もし治療した歯の痛みが止まらない場合にはまずはご相談下さい。吉本歯科医院ではできる限り残せる歯の神経は抜かずに薬で治す治療を行っております。